お客様の声

株式会社 人形のまつもと

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業務内容:雛人形の製造・販売
所在地:埼玉県所沢市中富南2-27-10
お話:代表取締役 松本 雄之 様
現在までの歩みをお聞かせ下さい。
  高校卒業後、実家の家業である織物業を手伝っていましたが、家族経営ということもあり当時から強い独立意識を持っていました。そんな折、昭和40年に転機が訪れ、現在の基盤となった人形業界で20年間営業のノウハウをしっかり吸収し、昭和60年に満を持して当会社を設立し現在に至っています。 
社長の経営理念をお聞かせ下さい。
  いたずらに事業規模を追わず、感謝の気持ちを持って、伝統文化である雛人形を通して地域社会に貢献し、従業員・取引先を含めた社会全体の発展、幸せを第一に考え共栄共存していくことです。
企業経営で大事なものはなんですか。
  先ず、経営理念でも掲げているように「いたずらに事業規模を大きくしない」ということですね。つまり、売上が30~40%落ちても耐えられる企業体質をつくるということです。 設立当時から業界の常識であった固定費の既成概念に対して強い疑問を持っていましたので、特に人件費に関して、私以外はパート中心の形態を取ろう、またそれで充分やっていけると思い実践しました。結果、固定費を抑制できるので、業界平均よりも約25%も低い粗利益率を可能にし、価格面で他社とも断然に差をつけることができましたね。
  固定費を把握するには、創業以来教科書代わりにしている「利益計画書」を元に、毎月注意深く確認しています。次に、伝統文化という保守的な環境・移ろいやすい流行の中で、商品の魅力作りに関して言えば、「感性」特に「色彩感覚」が非常に重要な要因となりますので、その年の成人式の着物の流行には非常に気を使っています。
  また、ターゲットを27~35歳の主婦におき、その世代が望んでいるものをいち早く察知するために、肉体は衰えても気持ちは常に若く保とうとしています。外出しているときも漫然と過ごすのではなく、その時代の置かれた環境を敏感に感じとり、注意深く観察します。そうしなければ、常に新たなものを取り入れ今の若い世代のニーズをくみとることは出来ないはずです。全部を取り崩してもダメ、伝統を重んじながら少しづつ新たなものを加えていきます。非常にさじ加減の難しいところかもしれませんが、それが市場ニーズの求める商品作りに欠かせないのです。 商品作りに非常に手間暇をかけ、生まれた商品には大変自信がありますので、営業も必要としない「ゆとりを持った経営」ができるのです。ゆとりがないと、社長が先頭を切って切盛りしがちになり、それが当然と相手に思われ、社長としてのインパクトが薄れます。たまに電話での応対をしたり、配達をすることは相手への心理的効果が非常に大きいですね。
  最後に「良き人との出会い」を大切にするということですね。良き出会いは経営者たる経営感覚を磨く刺激に必ずなるはずです。これからは、そういう機会をたくさん作ることが必要ではないでしょうか。
これからの展開についてお聞かせ下さい。
  “これからは少子化という厳しい時代ですので、「時代にあった人形」の見極めが非常に大切になってきます。現在私たちを取巻く環境を見ても、住宅事情の変化・若者の人形離れといったようにマイナス要因が非常に多くなってきています。これにどう対応していくか、どのような市場ニーズがあるのか、常に時代の流行を先取り・研究していくことが必要不可欠ですね。
  また、大問屋の意向も常に大切にし、自分のオリジナルな感性もおりまぜていきます。そうすれば伝統文化である雛人形は引き続き求められていくと思いますね。
書面添付の申告書についてどう思われますか。
  会社設立時から「税金をしっかり納める=会社に力がつく(資本充実)」という考えでガラス張りの経営を実践してますので、書面添付申告書は当然のことと思います。今後も引き続きクリアな経営を目指していきたいですね。
インタビューを終えて
   まず、お忙しい中非常に貴重なお話をいただきましたことに深く感謝し厚くお礼申し上げます。今回のインタビューを通して、あるTVでの社長の話しを思い出しました。その社長は現場で「これが私の仕事ですから」と本の梱包をしていたのですが、なぜ社長が直々に梱包といった単純作業をしているのか、その答えが実感として分かりました。つまり、松本社長と同様に経営者が経営の最前線に立たずとも組織がしっかり機能し「ゆとりの経営」が出来ているということです。つくづく多くを実践的に学ばせていただいた一時でした。

照井 琢也